仲源寺 目疾地蔵

【ちゅうげんじ めやみじぞう】

四条大橋から南座と同じ側の道をさらに東へ足を運ぶと、小さな口がポカリとあいた空間に出くわす。そこが目疾地蔵がおられる仲源寺の入り口である。

ここのお地蔵さんは「目疾地蔵」と呼ばれている通り、眼病に効くご利益がある。しかし、最初はそのような名で呼ばれていなかったという。

鎌倉時代、この寺のあたりまでが鴨川の河原であった。安貞2年(1228年)に鴨川が氾濫した時、防鴨河使(鴨川の管理をおこなう役人)であった勢多判官為兼の夢枕に立ち、その霊告によって洪水を未然に防いだということで、お地蔵さんを安置した。その当時は【雨止(あめやみ)地蔵】と呼ばれていたのである。

ところが、この大きなお地蔵様の両眼には玉石が嵌め込まれており、お堂の外から暗い中に鎮座されるお地蔵さんを見ると、目が潤んで見える。江戸時代には鴨川の氾濫も少なくなり、【雨止み】の霊験が忘れ去られ、その特徴ある目から【目疾】と転訛されたようである。

<用語解説>
◆仲源寺
浄土宗の寺院。開基は平安時代の仏師・定朝(?-1085)とされる。上記にある鴨川の氾濫時の功によって、朝廷より「仲源寺」の寺名を授かる。

アクセス:京都市東山区四条通大和大路東入ル祇園町