圓流院

【えんりゅういん】

大山は山陰地方を代表する霊場である。この霊峰に大山寺という寺院がある。明治の廃仏毀釈によって大きく衰退したが、江戸時代には寺領3000石を幕府より安堵され、42の支院を持つ大寺院であった。現在では10の支院が残っているが、その中で最も有名なのが圓流院である。

圓流院は江戸時代に建立された支院の1つである。創建から200年以上経ち、平成21年(2009年)に再建された。その時以来、院内の天井画の画題として“妖怪”を選んだことが評判となり、観光客を集めることとなったのである。

寺社の天井に絵が描かれることは珍しくない。天井を格子状に仕切ってそこに様々な花鳥風月の絵を描くこともよくある。しかし妖怪を描くことはかつてないことである。

絵師は、同じ鳥取出身の水木しげる。天井には全部で110枚の絵がはめ込まれているが、そのうち「阿弥陀浄土」と「補陀落浄土」の2枚の絵以外は全て妖怪が描かれている。そしてその天井の中心部にある絵は、大山の守護神である烏天狗(伯耆坊)となっている。(ちなみに108体の妖怪については、有料のリーフレットで確認できる)

この天井画の拝観方法も変わっており、最も見やすい体勢、すなわち床に仰向けに寝転がって天井をゆっくりと眺めることになる。天井全体を俯瞰するように見るのも良し、お気に入りの妖怪と対話するように見るのも良し。とにかく良い意味で“寺らしからぬ”光景である。

アクセス:鳥取県西伯郡大山町大山