児啼爺の像

【こなきじじいのぞう】

『ゲゲゲの鬼太郎』の主要キャラクターとして有名な“こなきじじい”であるが、あの特徴的な姿形は、水木しげる氏の創作によるものである。実際はあのような姿をした妖怪が存在していたというわけではない。

ただ妖怪としての“こなきじじい”の出自は、ある意味かなり確かなものとしてあったと言える。柳田國男の『妖怪談義』の中で、徳島県の山間部の妖怪と紹介されており、ある種のお墨付きが付いているためである(しかし実際は、さまざまな伝承が混ざり合って出来たものであり、現在ある“こなきじじい”のカテゴリーも柳田の『妖怪談義』で初めてまとめられたとの指摘もある)。有名妖怪で出現場所などの出自が明らかになっているケースは少なく、そのため平成13年(2001年)に伝承発祥地と認定された山城町に石像が置かれた。山城町は他にも多くの妖怪の伝承が残されており、妖怪による町おこしも盛んであり、平成20年(2008年)に世界妖怪協会より「怪遺産」に登録されている。

<用語解説>
◆世界妖怪協会
日本の妖怪に興味を持つ者が、理解を深めるなどのために集まった会。会長は水木しげる。平成8年(1996年)に第1回世界妖怪会議を開催。翌年に角川書店より季刊『怪』を発行。現在に至る。

アクセス:徳島県三好市山城町藤川谷