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波小僧・浪小僧
(なみこぞう)
静岡県御前崎市池新田(波小僧)
静岡県浜松市西区舞阪町(浪小僧)
 遠州七不思議の1つと数えられる“遠州灘の波小僧”は、東は御前崎から西は伊良湖岬までの遠州灘一帯で起こる自然現象を指す。昔からこの一帯では、海鳴りによって天候を判断していた。西に音がすれば晴れ、東であれば雨、さらに東であれば嵐という具合である。この不思議な自然現象について、古くから「波小僧」という妖怪にまつわる言い伝えが残されている。
 ある漁師が遠州灘で漁をしていると、網に奇妙な生き物が引っ掛かってきた。それは波小僧であった。漁師はこれを殺そうとしたが、波小僧は「命を助けてくれたならば、お礼に雨や嵐の時にお知らせします」と願い出た。漁師はそれを聞いて、海に帰してやった。それ以来、波小僧が海鳴りで天候を知らせるようになったのだという。
 上のものは遠州灘に面する地域一帯に流布する波小僧の基本的な話であるが、中には、行基が農作業を手伝わせるために作った藁人形が波小僧の正体である(この説は河童の起源の一説と同じ内容)とか、海鳴りは波小僧が海底で太鼓を叩いて知らせている音とか、漁の網に引っ掛かったのではなくて陸に上がって遊んでいるうちに干上がってしまったところを助けられたとか、色々なバリエーションがある。いずれにせよ、海鳴りの正体は、海に住む妖怪の仕業ということになっている。
 現在、御前崎市の浜岡砂丘の入り口近くに「波小僧」、浜松市舞阪町の旧東海道と国道1号線が交わる地点に「浪小僧」の像がある。漢字は違うが、どちらも同じ妖怪を指しているのは間違いないだろう。
<用語解説>
遠州七不思議
「七不思議」であるが、実際には10以上の不思議が紹介されている。波小僧の他には、小夜の中山夜泣き石、桜が池のおひつ納め、京丸牡丹、無間の鐘、三度栗、池の平の幻の池、霧吹き井戸、子生まれ石、能満寺のソテツ、片葉の葦、天狗の火、清明塚などが挙げられる。
<関連伝承地>
夜泣き石(静岡県)

波小僧

浪小僧


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