茨木童子の里

【いばらきどうじのさと】

茨木童子の生まれは、その名前から大阪府茨木市と目されるところが多いが、有力な場所として新潟県も挙げられる。

長岡市(旧・栃尾市)軽井沢が茨木童子の出身地であり、美少年だったと言われる。若い娘から言い寄られるのを案じた親によって弥彦神社に預けられるが、実家に残されていた「血塗りの恋文」を見つけて鬼と化したとされる(このあたりは越後の酒呑童子の来歴と同じ展開)。やがて同じ越後出身の酒呑童子と意気投合、術に勝る酒呑童子を兄貴分として数々の悪事を重ね、やがて京都の大江山まで移動することになったと伝わる。

現在、軽井沢の集落には茨木童子を祀る神社があり、「稚児清水」という湧き水がある。茨木童子と酒呑童子はこの水を飲んで、兄弟の契りを交わしたとされる。また軽井沢には茨木姓の家が多くあり(茨木童子の生家の子孫が未だに現存する)、これらの家では節分に豆をまかない習慣が残されていたり、茨木童子が鬼に化身した際に破風から出ていったために破風を設けないという。人並み外れた知勇の持ち主として、この地では信仰の対象となっているわけである。

<用語解説>
◆酒呑童子
京都の大江山を住処として、都で悪行を重ねた鬼。源頼光と四天王によって退治された(ちなみに茨木童子は生死不明とされる)。酒呑童子の出自についても越後西蒲原とする説がある。

アクセス:新潟県長岡市軽井沢