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花の窟神社
(はなのいわやじんじゃ)
三重県熊野市有馬町上地
 『日本書紀』によると、イザナギ・イザナミの両神は国産みのあと神産みをおこなうが、その中で火の神カグツチを産んだところでイザナミが女陰を焼かれてしまい、それが元で亡くなってしまう。怒ったイザナギはカグツチを斬り殺し、そして紀伊国の熊野有馬村にイザナミを葬ったとする。これが花の窟の始まりであるとされる。
 花の窟という名前は、イザナミの墓所に村の者が花を捧げ御霊を慰めたことから始まる。現在では花窟神社として“日本最古の神社”と名乗っているが、実際には本殿や拝殿などの建造物はなく、神社というイメージからはほど遠い。むしろいまだに神を埋葬した場所として自然崇拝の形が残っていると言うべき状態である。実際、この花の窟の近くには産田神社という、イザナミが亡くなったと比定される地に古社が存在している。この花の窟はあくまでイザナミの陵墓であるという認識の方が正しいのかもしれない。
 花の窟は、玉石が敷かれた遙拝所があるだけである。そして御神体となる巨石が目の前にある。ただしその巨石が半端なものではない。高さは約70m、間近で見ればただの石の壁である。そして同じ場所に高さ約12mの巨石があり、こちらはカグツチを祀る王子の岩屋とされる。つまり、この地はイザナミを葬っただけではなく、イザナミを死に追いやった子供も一緒に葬ったということになる。
<用語解説>
イザナミの墓所
『日本書紀』ではこの花の窟を墓所としているが、『古事記』では比婆山(島根県安来市)に葬ったとされる。現在では、この比婆山が正式な墓所とされている。

カグツチ
火の神とされる。この神話は、火という利器を得るために多くの犠牲があったことの寓意であるとみなすことが出来る(ギリシア神話でも、人類に火をもたらしたプロメテウスは、ゼウスによって半永久的な責め苦を負わされることになる)。カグツチはイザナギによって切られるが、そこから多くの神々が生まれることになる。
<関連伝承地>

花の窟全景

花の窟

花の窟・注連縄

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