[県別一覧へ]

海士潜女神社
(あまかづきめじんじゃ/あまくぐりめじんじゃ)
三重県鳥羽市国崎町
「かづく」「くぐる」は共に「海に潜って魚や貝を採る」という意味を持つ。祭神は潜女神、すなわち海女の祖である“お弁”とされている。
 天照大神を伊勢に遷して神宮を建てた倭姫命は、舟でこの国崎の地を巡見し、海女が貝を採っているところを見た。興味を示した命は、近くで貝を採っていた女に何を採っているのかを尋ねた。すると、お弁というその女は、自分たちが採っているのは“鮑”という貝であると答え、それを命に献上した。賞味した命はその美味さに驚き、さっそく伊勢に遷した神宮に神饌として毎年奉納するよう命じた。さらに生のままでは腐りやすいため、鮑を薄く桂剥きにしたものを真っ直ぐにして干したものを奉納することとした。これが“熨斗鮑”の始まりとされ、現在でも国崎町では伊勢神宮に奉納する熨斗鮑が特別に作られており、その製造過程は県の無形民俗文化財に指定されている。
 伊勢神宮との関係の深さもさることながら、この神社は「海女の守り神」として近隣の従事者からの崇敬を受けてきた。特に潜水作業時に起こる目まい除けは有名で、現在では海女に限らずダイバーなど潜水作業を行う職種全般に信仰は広まっている。この神社のお守りには「セーマン・ドーマン」と呼ばれる魔除けの印が付けられている。これは“ともかづき”という妖怪から身を守るためのものであると言われている。
<用語解説>
倭姫命
第11代垂仁天皇の第4皇女。笠縫邑にあった天照大神を奉じて各地を訪ね、最終的に伊勢に祀った。そのため伊勢神宮の初代斎宮とされる。伊勢で没したとされ、御陵参考地が伊勢市内にある(現在は倭姫宮が隣接する)。

セーマン・ドーマン
一筆書きの五芒星をセーマン、9本の直線で描かれた格子をドーマンと呼ぶ。セーマンは“安倍晴明判”であり、その名は安倍晴明から採ったものであると考えられる。またドーマンは“九字紋”であり、その名は蘆屋道満から採ったものであると考えられる。ただ、この魔除けの印はあくまで民間信仰の域を超え出ないものであり、本来の陰陽道とは直接関連性は少ないとみてよい。

ともかづき
鳥羽や志摩の海に現れる妖怪。作業をしている海女のそばに現れて、より深い底の方へ誘ったり、鮑を差し出したりする。その誘いに応じると、命を奪われるという。またその容姿は、目撃した海女自身と瓜二つであるとされる。
合理的な説明を加えるならば、潜水中の激しい目まいによって意識障害が起こり、幻覚を見たのではないかと考えられる。
<関連伝承地>

海士潜女神社

海士潜女神社

[HOME]