雨乞い地蔵

【あまごいじぞう】

田園風景が広がる中に、小さな蓮池がある。その池に水没しかかったような屋形がある。この中に収められ、常時水没しているのが雨乞い地蔵である。水面から中をのぞき込んでも、全く地蔵の姿は見えない。

この池は常楽池と呼ばれ、近所にある常楽寺所有のものである。昔から、このあたりの村人は日照りが続くと、この雨乞い地蔵を池の中から引き揚げて、雨乞いの祈祷をおこなったという。祈祷の仕方は、竹4本を立て、注連縄を張って祭壇を作り、常楽寺の住職を招いて“水天龍王に雨を祈る”と書いた卒塔婆を立てるという手順。この地蔵は水が大好きなので、水の中から引き出されて乾いてしまうと水を求めて雨を降らせるというのである。ただしほどよいところで地蔵を池の中に戻さないと、延々と雨を降らし続けて洪水になるとも言われている。

最近でも雨乞いの儀式がおこなわれ、平成6年(1994年)8月におこなわれた際にはNHKで放映された。その時は昼間に執りおこなわれたが、夕方には雨乞いの甲斐あってか、雨が降り出したとのことである。

アクセス:京都府城陽市観音堂