息栖神社

【いきすじんじゃ】

常陸国一之宮の鹿島神宮、下総国一之宮の香取神宮と並び「東国三社」として崇敬を集める神社である。

主祭神は岐神(くなどのかみ)であるが、鹿島神宮の武甕槌命と香取神宮の経津主命が関東平定の時の先導役となった神であるとされる。また相殿神である天鳥船命は、武甕槌命・経津主命と共に“出雲の国譲り”に登場する神とされている。いずれにせよ、この3つの神社の結びつきは非常に強いものであると考えられる。また祀られている神から分かるように、交通関連、特に水上交通のご利益があるとされる(実際、息栖神社のある一帯は利根川下流の水運の要衝であった)。

息栖神社の一の鳥居のそばには「忍潮井(おしおい)」と呼ばれる霊泉があり、伊勢の明星水・山城の直井と共に日本三霊泉とされている。忍潮井は鳥居の両脇に2つあり、それぞれの井戸の中に銚子の形をした「男瓶」と器の形をした「女瓶」があり、そこから水が湧き出ているとされる。そして神社が現在地に移転された時、取り残されてしまったこの2つの瓶は自力で川を遡って追い掛けてきたという伝説を持つ。

<用語解説>
◆東国三社
関東以北の習慣として、伊勢神宮参拝後にこの3つの神社を「下三宮参り」として巡拝したという。
また“出雲の国譲り”に関連する神が祀られているだけでなく、この3つの神社を結ぶとほぼ直角二等辺三角形になるとされ(ちょうど直角の位置にあたる息栖神社が移転した結果であり、これも意図的な配置とみなす根拠である)、特別な関係があると考えられる。

◆出雲の国譲り
高天原の神が、大国主命が治める出雲国を服従させようと使者を送るがことごとく失敗。そこで武力で解決するために送り込んだのが武甕槌命であり、それと共に地上に降りたのが『古事記』では天鳥船命、『日本書紀』では経津主命となっている。最終的にこの神々によって出雲国は高天原のものとなる。

アクセス:茨城県神栖市息栖