さざえ堂

【さざえどう】

白虎隊で有名な飯盛山の中にある。正式名称は円通三匝堂(えんつうさんそうどう)。平成8年(1996年)に国の重要文化財に指定されている。

かつて飯盛山には正宗寺という寺院があった。その住職であった郁堂という僧が、寛永8年(1796年)に建てたものであるとされている。この「三匝堂」と呼ばれる建築物は東日本にいくつか現存しているが、いずれもその建設目的は“簡便な観音巡礼”であり、その建物内部に配置された各地の観音巡りが出来る趣向となっている。そしてその建築様式が明確に規定されており、右回りに3回廻って(三匝)参拝するように造られるため、三層構造になっている(外観は二層建築の場合もあり)。しかし飯盛山のさざえ堂はその中でも特殊な建築物であり、外観の六角形の建物も特異であるが、内部にある二重螺旋の通路(拝観のための右回りに上へ行く通路と、帰路となる左回りに下へ行く通路)が無二の存在であり、一方通行のまま行き帰りの参拝者がすれ違わずに拝観出来る構造となっている。この構造については、建設者の郁堂が“こより”作りから着想を得たとも、フランスにあるシャンボール城にある二重螺旋階段の建築法が巡り巡って伝えられたとも言われる。

正宗寺は明治維新後の廃仏毀釈によって廃寺となり、住職は還俗して飯盛姓を名乗る。飯盛氏はその後、正宗寺の土地を買い取り、遺構の保存にあたった。そのため、さざえ堂は個人所有の文化財となっている。また廃寺となったため、かつて堂内にあった観音像などは撤去され、代わって白虎隊十九士の霊像が安置されたが、有料拝観であることから宇賀神堂に移動(現在でもそちらに安置)。その後は「皇朝二十四孝」の額が掲げられている。

<用語解説>
◆シャンボール城
フランス国王・フランソワ1世(1494-1547)が築城。フランソワ1世の食客であったレオナルド・ダ・ヴィンチが建設に関わっていたとされ、この二重螺旋階段も彼の考案であるとされている。1981年に世界遺産登録。

アクセス:福島県会津若松市一箕町八幡弁天下