小町堂

【こまちどう】

小野小町の出自については諸説あり、全国各地にその生誕地や死没地(墓碑)が存在する。その中でも有力な出身地として挙げられるのが、出羽国の小野である。

小野篁の息子である小野良真が出羽郡司として赴任中に、地元の娘との間に出来たのが小町であり、13歳まで出羽の小野で過ごしたとされる。その後に都に上り、約20年間宮中の女官として務め、再び故郷へ戻ったと言われる。最終的に出羽における小町は92歳で没するまでこの地に留まり、その霊を祀るために建てられたのが小町堂である。またその周辺には、小町ゆかりの寺院や岩屋が存在する。

この小野の地にも小町にまつわる伝承が残されている。小町の後を追って都から来たのが深草少将であり、その求愛に対して小町は100日間芍薬を1株ずつ植えてくれれば受け入れるとした。しかし少将は最後の日に増水した川に転落して亡くなってしまったという。

<用語解説>
◆小野良真
生没年不明。小野篁の息子とされるが、その存在は『尊卑文脈』という系図集にのみ見られるため、実在そのものに疑問が生じる。

◆深草少将
小野小町の「百夜通い」伝説の主人公であり、世阿弥などの能作者によって作られた架空の人物。この秋田の伝承も、おそらく後世の二次創作であると考えられる。

アクセス:秋田県湯沢市小野